【要約&感想】まんがでわかるドラッガーのリーダーシップ論から学ぶ、マネジメントの基本とは?

Employees listening to their manager

東京の旅行代理店に勤めるOLの仕事ぶりを通して、ドラッガーのリーダーシップ論の一部をわかりやすく紹介している本(漫画)です。

 

恥ずかしながら、私はドラッガーの著書を読んだことがなかったため、この「漫画」が、どの程度ドラッガーのリーダーシップ論を紹介しきれているのかわかりません。

 

しかし、漫画の要所要所に出てくるドラッガーの著書から抜粋されたフレーズは、非常に印象に残り、納得感のある言葉の数々でした。

 

概念的な言葉なので、これを実行に移すにはいろいろとハードルがあると思いますが、ドラッガーが生きた時代(1909~2005)と現代を比較しても、仕事とリーダーシップに関する考えの根本は変わっていないことに驚きます。

 

いまなおドラッガーが人気のある所以だと思います。

 

おそらくこれからも、様々なテクノロジーと環境の変化で、生活や働き方は変わってくると思いますが、人との関係、リーダーシップの在り方は普遍的なものなのだと思いました。

 

今更ながら、もう少し深くドラッガーを勉強してみたいと思います。

下記に本書に出てくるキャラクターたちのセリフや、ドラッガーの言葉を抜粋してご紹介します。納得感のある、しっくりした言葉が見つかるようでしたら、一読をオススメします!

■本書のまとめとポイント

本の要約を書きたいところだったのですが、ほぼドラッガーの言葉と登場人物のセリフのまとめになってしまいました…。

 

それに加えて、私の社会人経験を踏まえた感想と考察も恥ずかしながら書いてみました。みなさんはどのように考えますか?

■リーダーの役割は人を動かすことではない

 

「リーダーシップ」というと、チームを率いてテキパキと指示を出すイメージがあるかもしれません。しかし、実際はそうではありません。一昔前の部活動のキャプテンのイメージとは全く違うものです。

 

メンバーは、リーダーの行動や態度そのものを「こんな組織にしたい」というメッセージとして受け取っている。それが組織の空気を作っていく。

組織文化はその組織のトップが「何をどれだけ言うか」で形成されるものではなく、「何をどれだけ行うか」で形成される。

不言実行。これは当たり前ですね。口先だけではリーダーは務まりません。

あまりに多くのリーダーが、自分のしていることと、その理由は、誰にも明らかなはずだと思っている。しかし誰も理解などしていない。自分をわかってもらうために時間を使わなければならない。

自分が何を考えて、何に取り組んでいるか。自分は一生懸命やってるのに周りが気づいてくれなくて苛立ったりすることはありませんか?

 

 

意外と周り人は、自分以外のことをしっかり見ていないことが多いようです。

 

 

自分の仕事内容、考えていることを明確に示すことが、その後のわだかまりを防ぐために有効だと言えます。

■ミッションを決めろ!使命感の共有でチームの結束力を高める

お互いの仕事への思いを知り、そのうえでみんなが納得できる価値観をチームとして共有することだ

「われわれの事業は何か」との問いは、異論を表に出すことに価値がある。それによって、互いの考えの違いを知ることが可能になる。互いの動機と構想を理解したうえで、ともに働くことが可能となる。

みなさんの勤める会社にはミッションや社訓、社是はありますか?私の会社には残念ながらそのようなものがありません。

 

他社を訪問すると、経営者が作った「言葉」が掲げてあったりします。目指す方向が明確な会社は強いと思います。

 

社員それぞれに力があっても、方向がバラバラだと本来の力を発揮できません。社員が共感できるミッションがあると、結束した力は何倍にも増幅するのだと思います。

 

以下、参考までに代表的な企業のミッション(理念)を調べてみました。

■有名企業のミッション・理念・メッセージ

こうして改めて読んでみると、理念と企業のイメージがほぼリンクしていることがわかります。

 

日々の決断のよりどころとして「理念」や「ミッション」が機能すれば社員は迷わなくなり、結束することができますね。

 

リーダーが初めに行うべきは、自らの組織のミッションを考え抜き、定義することである。考えるべきは、いかなるミッションが有効であって、いかなるミッションが無効であるかである。ミッションの価値は正しい行動をもたらすことになる。

ミッションとは、社会のある特定のニーズを満足させること。「ニーズを知り、ヒト・モノ・金・時間を使って価値を創造すること」=「顧客を作り出すこと」

■ミッションが決まったら戦略と人材配置を決める。

「事業」とは、「顧客は誰か」を問い、「わが社の事業は何か」を明確にすること。どんな「困った」に効く商品やサービスを提供するのかを決めることです。

それを追求するために、2つの方法が提示されています。

①創造的模倣

成功例を参考にし、より細かなニーズに対応することで先行企業が取りこぼしている消費者の支持を得る方法

②ニッチ戦略

産業のニッチで独占状態を作り、欠かせない存在となること。これ、と定めた商品を強みと言えるまで鍛えていくこと。

②のパターンはゼロからニーズを発掘する必要がありそうですし、ニッチ過ぎると本当にマイナーサービスで終わってしまう可能性もありそうです。

 

私は①の方法を取るべきだと思いました。はじめはマネから入ったとしても、どこかでおのずと「個性」が生まれてきますので、その段階でニーズとの調整を図っていくと良いように思います。

 

UberEatsがこれだけ拡大している段階で、フィンランドのフードデリバリーサービス・Wolt(ウォルト)が日本でサービスをスタートさせたそうです。

 

詳細はわかりませんが、これからでもまだチャンスがあると考えているのでしょう。

 

世界を席巻するGAFAも、数年後には入れ替わっていることがあるのかもしれませんね。

■専門家を動かせ!仕事の託し方がやる気を変える

人材を配置し、役割を決めたらあとは仕事を割り振るだけ、と言いたいところだがリーダーは人のタイプを考えて、やる気が沸くような仕事の与え方をする必要がある。

◎一般社員の場合

自分の強みに気づいていないこともある。そこを気づかせ達成感を味わわせてやることが大事だ。「目標を共有し、強み(得意分野)を生かすような仕事を与えること」

目標への進め方は自分で考えさせる。自分のやり方で結果を出すことで自身や誇り、責任感が生まれる。

誇りや達成感は仕事と離れては生み出されない。仕事の中から生まれることが必要である。人は誇れるものを成し遂げて誇りをもつことができる。仕事が重要なとき、自らを重要と感じる。

 

「結果を出す」「達成感」ということがキーワードのようです。

 

 

私自身を振り返ると、20代のころの部署移動を契機として、移った部署で小さな成功と達成感を重ねていって、仕事に自信が持てるようになっていきました。異動した部署と相性が良かったようです。

それなりの修羅場と困難を切り抜けてきた自信があります。ある分野では、会社や事業の規模では負けていたとしても、個人の能力では負けてない自負があります。

 

仕事の大小は関係なく「結果」と「達成感」は大切だと言い切れるのではないかと思います。

 

◎専門家の場合

専門家は自分の強みを理解しているため自分の仕事をどう行うか最初から自己決定できる。専門家には大きな難しい課題であっても成果を求めること

 

仕事のやり方が確立している人、専門的な仕事を一人で完結できる人に対しては細かな指図は逆効果になります。

 

 

ただ、実績を把握できている場合はいいのですが、(例えばこの漫画の登場人物のようにすでに著名な人であればいいのですが)まだ深く知らない相手の場合は、仕事の前にしっかりとしたコミュニケーションが必要になってくるのだと思います。

 

上司たる者は組織に対して部下一人ひとりの強みを可能なかぎり生かす責任がある。人を、管理ではなくリードすること、支配ではなく方向づけすることを学ばなければならない。

 

部下を知らない、コミュニケーションを取らない上司は全くダメ、ということになります。当然ですね。

 

 

ただ、ドラッガーが素晴らしいと思ったところは、リーダーの在り方と同時に、一般社員に対しても、上司をフォローするように課題を与えているところです。これについては後ほどご紹介します。

■モチベーションと仕事のやりがい

①強みを生かせる場所に配置し、

②レベルの高い仕事を与え、

③自分の仕事を自分で評価できるように明確な情報を与え、

④経営者の視点で仕事を見渡す機会を与えることでモチベーションを引き出せる。

仕事のやりがいは、責任のある仕事を与えられることにより、その成果や貢献からもたらされる達成感や喜びのこと。

■チームの成果はリーダーの仕事ぶりで変わる

誰にだって弱みはある。上の立場の相手の弱みを補って動くという発想もリーダーシップには欠かせないのだ。

なすべきことから考え、それを上司にわかる形で提案しなければならない。上司も人である。人であれば強みととも弱みも持つ。それぞれの成果のあげ方があることを知らなければならない。

部下として上司に働きかけ、上司の仕事ぶりに変化を起こし、上司の力が最大限に発揮されるようにリードしていくこと。

リーダーは人の弱みには目をつむり、強みを見出し、それを十分に発揮できる分野の仕事のやポジションを与えなければならない。

上司の欠点をも補ってこそリーダーというもの、ということだと思います。

 

思想は素晴らしいですが、部下も上司もマネジメントするとなると大変ですね…。こんな部下がいたら上司は楽です。そんな組織が実際にあるのか?…と疑ってしまうほど理想的です。

■リーダーの「真摯さ」が大切

リーダーシップが発揮されるのは真摯さによってである。範となるのも、真摯さによってである。真摯さはとって付けるわけにはいかない。真摯さはごまかせない。

いかに知識があり、聡明であって、上手に仕事をこなしても、真摯さに欠ける者は組織を破壊する。組織にとって最も重要な資源である人を破壊する。組織の精神を損なう。成果を損なう。

何が正しいかより、誰が正しいかに関心をもつ者をマネジメントの地位に就けてはならない。仕事の能力よりも人を重視することは堕落でありやがては組織全体を堕落させる。

何が正しいかより、誰が正しいかに関心を持つ人、多くないでしょうか?大多数の会社員が当てはまってしまうように思います。

 

 

全員がドラッガーの思想をしっかり共有できていればいいのですが、そうはいかないのが現実。

 

 

また、「正しさ」の基準も明確にする必要があると思います。複数の異なる意見が出る場合、どちらも「正しい」と思っていて、噛み合わない場合もあります。

 

 

その場合にどうやって意見をまとめるか、お互い納得いく折衷案が出ればいいのですが、片方の意見を取り入れないことになった場合、その人の「正しさ」が否定することになってしまいます。その場合はどうすればいいのでしょうか?

 

 

私の中には答えがありません。どなたかアドバイスを…!

リーダーシップとは人のビジョンを高め、成果の水準を高め、通常の限界を超えて人格を高めることである。そのようなリーダーシップの基盤として、行動と責任についての厳格な原則、成果についての高度の基準、個としての人の仕事に対する敬意を日常の実践によって確認していくという組織の精神に勝るものはない。

ほぼ神の領域ですね!

ドラッガーの言葉のレベルが高くなってきて、ここまで来るとついていけない感じです…。こんなリーダーの元で働きたいと思いますが、実在するのでしょうか!?

 

一流企業のリーダーを接したことがないので、そういうところにはたくさんいらっしゃるのかもしれません。

変化は常態である。悪戦苦闘を強いられる。だがこの変化の先頭に立たないかぎり、生き残ることはできない。急激な構造変化の時代にあっては生き残れるのは自らの変革の担い手、チェンジ・リーダーになる者だけである。

ひとりで働き、ひとりで成果を出す人はわずかである。ほとんどの人は他の人の力を借りて成果をあげる。したがって成果をあげるには、人との関係に責任を負わなければならない。

発展されるべきものは、情報ではなく洞察、自立、勇気など人に関わるものである。換言するならばそれがリーダーシップである。聡明さや才能によるリーダーシップではなく、持続的なリーダーシップ、献身、決断、目的意識によるリーダーシップである。

全員が成功するなどということはありえない。第二の人生、バラレル・キャリア、篤志家としての仕事をもつということは、社会においてリーダー的な役割を果たし、敬意を払われ、成功の機会をもてるということである。

 

この時代で「副業」の有用性を示唆しています。私も自らの意思で行う「副業」はやったほうが良いと思っています。

 

収入面のメリットよりも、自分の視野が広がり、スキルの幅が広がることで、「本業」に確実にフィードバックできます。

強みを生かすということは行動することである。人、すなわち自らと他人を敬うということである。強みを生かすことは、実行によって習得すべきことであり、実践によって自己開発すべきものである。

 

実践あるのみ、ということですね。

 

 

実行してみないと「強み」なのかどうかもわかりません。強みだと思い込んでいたことが実は「弱み」だったり、その反対もあるかもしれません。考えるより動け、ということでしょう。

 

 

一方で、マーケティング戦略などでは、まずは「考える」ことから始めるパターンもあります。やみくもに動くことが「無駄」になる場合も考えられます。

 

 

結局は「考えながら動く」「動きながら考える」。バランスが大切になってきますね。

■編集後記

ドラッガーに関して全く知らないけど興味はあるという方。でも、本を読んでいる時間がない、という方は、筆者の思いが「おわりに」に凝縮されていますのでぜひお読みください。

 

ここだけ読んでも価値があると思います。

表面的な変化に適応することばかりに目を向けていると、仕事における普遍的な側面、「人」の部分を見落としてしまいがちです。

自分ができることを通して、組織にいい影響を与えようと心掛けることは、メンバー全員に求められるリーダーシップであると言えるでしょう。人は結局、置かれたポジションで強みを生かすことでしか、輝くことはできないのですから。

できないことにとらわれることなく、できることを考える。人に対しても、自分に対しても、そういう意気込みでチャレンジを続けることが大切なのだと思います。

いかがでしたでしょうか?

 

これを読んでいただいたみなさんが、良きリーダーとなり、周囲の人間の強みを生かし、充実感を持って働くことができるようになるヒントになれば幸いです。

佐藤ハリー

会社勤めの傍ら、経済的自由と理想の働き方を求めて模索中。2021年1月から始めたこのサイトは、ビジネスに役立ちそうな本の要約と私の感想、おすすめ度などを紹介していきます。サイト構築、WEBマーケディングを勉強しながら作成していますので、不備等たくさんあると思います。ご了承ください。アドバイス大募集です!笑